食料の安全保障問題

日本人にとって秋刀魚は秋の食卓にはなくてはならないものだが、最近秋刀魚の漁獲量が減っている。また秋刀魚も以前に比べて小振りになっているようだ。日本にエサを求めて巡回してくる秋刀魚を、公海上で台湾とか中国の漁船が獲っている。その量が近年増えてきているとのことだ。経済成長で所得が増え、食生活も変ってきているのだろう。公海上であれば、漁獲を差し止める訳にもいかない。日本人は鮮度重視というか、生の魚を食べる嗜好があるので、小型漁船で、近海の秋刀魚を取り、急いで漁港に戻ってくるが、台湾、中国は大型船で冷凍庫を持っているので、漁獲の都度港に帰る必要がなく、大量に獲っているようだ。

日本は黒潮と親潮に挟まれて、漁業資源が豊富な国で、寿司を初めとして魚食文化を発達させてきた。東南アジア諸国から見ると豊かな、漁業資源に恵まれている日本が羨ましいということではないだろうか。この魚食文化を今後どのようにして維持していくか、大きな問題だ。

日本人は問題が大きくなってから騒ぎ、慌てて対策と取ろうとする傾向が強い。また外圧に押されて動くというところが多分にある。つまり問題に対して、それが顕在化している問題だけではなく、潜在的な問題に対して「主体的」に向き合うという意識と覚悟と普段の努力が足りないのではないかと思うことがある。

国際化の時代と言われている。戦争ではなく、国際法を遵守しつつ、新しいルールづくりを日本はもっと積極的にやるべきではないか。

日本の安全保障はまず食料が第一だ。確かフランスの知人が言った言葉と記憶しているが

「農業は国防産業だ」

もうすぐ秋刀魚がわが家の食卓にも乗るだろう。