秋の夜の楽しみ方

 

雨戸を閉めようとしてガラスの引き戸を開けたら、涼しいというより寒い!と感じるような外気が部屋の中に入ってきた。昨年は10月初旬迄暑かったように記憶しているが、今年は例年のように秋がやってきているようだ。秋は収穫の秋。既に稲の収穫は終った。デパートの食品売り場に行くと、ブドウはピオーネ、リンゴ、梨、栗が売られている。空気が冷涼になってくるせいか、気分も落ち着いてくる。

私の秋の楽しみ方はささやかではあるが、いつの間にかパターンが出来上がっている。まず読書はなぜか詩集が多くなる。詩を読んでいるといつの間にか人生を、人生の真実を考えている。音楽はやはりシャンソンだ。バンドネオンのタンゴもいい。まだ見ぬ世界への郷愁を感じるとでも言ったらよいだろうか。運動は散歩。ある人が散歩は歩く禅、「歩禅」と言ったが、そんな気分も確かにある。そして私は紅葉が散り、紅葉に埋まった道を歩くのが好きだ。「裏を見せ 表を見せて 散る紅葉」(良寛)人生の裏表を見せながら尽きていく命。枯れるということは使命を全うした、ということでもあるのだろう。

今年は以上に加えて「聴く」秋にしたいと思っている。人の言葉、思い、人が立てる音を聴く。自然の物音を聴く。今年の秋は一層思いが深くなるかもしれない。