畑地が住宅地に変えられていく

私達が野菜を栽培している朝霞農園の隣に新しい戸建て住宅が10軒建った。建売住宅だ。

これで朝霞農園は両側を住宅で挟まれることになった。特に残念なのは今度建った10軒のため冬場は菜園の一部に陽が当らなくなったことだ。畑地が駐車場に地目変更して、そして宅地に変わり、農地が減少していく。人口減少時代、農水省は畑地の保全に動いているようだが、私が住んでいる志木、朝霞地区でも畑地に次から次へと戸建て、アパート、マンションが建っていく。街の風景もドンドン変わっていく。なぜそんなに家を、マンションを建てる必要があるのだろうかと素朴な疑問が湧く。

総務省の住宅・土地統計調査によると日本の住宅ストックは2013年時点で総住宅数6063万戸、うち空き家が820万戸、空き家率は13.5%に上る。過去最高となった。

一方住宅取引市場の国際比較を見ると英国、フランス、米国の中古取引率は軒並み80%前後だが、日本は13.5%と著しく低いレベルにある。理由はいくつかある。

木造住宅は建築後20年で建物評価がゼロとされるため売却メリットが少ない。それどころか更地にした方が高く売れるというケースもある。

また耐震基準や安全基準が幾度も変更されてきたため、そのままでは売却できないという問題もある。

要するに中古住宅が売買されず固定化し、空き家も増えている状況の中で新築の家、マンションが次から次へと畑地を潰しながら建っている。

畑の土は単なる土ではない。「生きている土」なのだ。

今後の中古市場の整備、市場活性化に期待したいが、畑地の減少を食い止めるのは容易ではないだろう。戦後の農地解放で農家は農産物の生産者になったが一方で不動産所有者にもなった。日本の農業の衰退の中で、農家は不動産所有者としての性格を強くしている。相続で土地を手放さなければならないという話もよく聞く。

私達もいつまで朝霞農園で野菜づくりができるだろうか。毎年毎年腐葉土を入れて土づくりをやっている。4年続けてきて、いい土になったなと喜んでいるが、それもいつまで続けられるだろうか。