日本企業は世界の窓開け

 

元米大統領補佐官のローレンス・リンゼー氏は企業にとっていま欠かせないのは「優れた人材やアイデアを世界中から集めてくる企業自身の姿勢であると述べた後で、日本企業の問題点を指摘する。1つは、日本企業は株主の意見に耳を傾けてきたか。2つ目は内向き経営だ。「強い米企業の視線は外向きで、人材やアイデアを世界中から探している。株価が低迷すれば、斬新な発想を掲げる外国企業に買収されるという緊張感もある。」リンゼー氏は「あらゆる側面で世界に窓を開くことが企業の課題であり、安倍政権の優先課題」と断じる。

リンゼー氏は「世界に窓を開く」ということでどのようなサインを送っているのだろうか。

また「世界に窓を開く」とは具体的にはどのような変化を期待しているのであろうか。最近オリンパスの負債隠しが大きな事件になった。会社内部の隠蔽主義が露呈された極めて象徴的な事例だった。日本人はやはり臭いものには蓋をする、事なかれ主義の悪弊から抜け切っていない。隠蔽主義がまかり通っているようでは人材やアイデアを世界中から探しても結局は愛想を尽かされるのが落ちだろう。まず隠蔽主義、事なかれ主義の打破だ。そして次に重要なのは、その企業を本当に発展させるために必要な挑戦に果敢に取り組む姿勢だ。失敗を恐れてはならない。革新的で勇気があり、知恵のあるリーダーを育成・確保しなければならない。世界を吹いている風を、窓を開けて入れる。世界の厳しい風に身を晒す。そうすることによって企業風土も変わっていくはずだ。リンゼー氏は厳しい警告をしている。「日本は若い国ではない。今の機会を逃がしたら、世界経済のリーダーに返り咲く機会は訪れないかもしれない」日本は大人になったという人もいる。強い世界の風が吹き付ける中、しっかり立って、大人らしい成熟した考えと胆力を発揮する時が来ているようだ。(日本経済新聞 5月13日 朝刊 グローバルオピニオンを読んでの感想)