小企業、零細企業の新製品開発について

多くの小企業、零細企業は大手の下請けとして仕事をしている。景気が安定していれば仕事は貰えるが、一旦景気が悪くなると仕事量を減らされたり、発注金額の値下げ圧力がかかってくる。食べていくには何とかなるが、将来のことを考えるとこのままでは不安だ。何とか食べられるうちに自社独自の商品を開発して、会社を支えるもう一本の柱をつくりたい・・・と思うようになるのは自然の成り行きだろう。しかしここからが問題だ。私の友人で通信、防災関係の仕事をしていたが、畑違いの食品機器関係の仕事を新規事業として始めて、結局会社を潰してしまった。私は仕事でお世話になった方の紹介でその方にお会いして、お話を伺ったが、知識、技術とも素人の域を出ず、それを学ぶために資金と時間を費やすことになってしまった。またセンサー関係の会社の販売拡大のお手伝いもしたが、開発段階でいろいろなトラブルに会い、それがトラウマになっていて、結局は誰も信用できないということで、私が準備した台湾の大手医療向け機器の会社との提携も土壇場になって反故になり、流れてしまった。

ある時、銀行の融資担当に聞いたことがある。「中小企業、零細企業が新製品開発に取り組むこと自体は積極的な経営姿勢でもあり、いいことですが、銀行としては警戒します。なぜなら中小企業、零細企業が新製品開発は殆ど失敗するからです。」新製品開発のために運転資金を流用して資金繰りが悪化するというケースを想定している。

中小企業、零細企業が激しく変化する経済環境の中で、環境に適応し、生き残り、会社を維持し、成長、発展させるためには、時流に合った経営センスと戦略・戦術、ビジネスモデルとマーケティングが求められる。

中小企業、零細企業は経営資源が限られている。その意味では大きな失敗は避けなければならない。社長が旗を振って金と時間を使って(社員からすると浪費して)、新規事業に失敗したとなれば、社長のリーダーシップに大きな傷がつく。

その意味では新規事業の初期段階でビジネスモデルのデザインとマーケティングの実施が欠かせない。何事もある程度やってみなければ見えてこない可能性がある。期間と投入資金の限度を設定して「やってみなはれ」だ。

中小企業、零細企業の新製品開発には新しい発想が今こそ求められていると思う。自分の思い込み、独りよがりで新製品開発に取り組むのはあまりにもリスクが大きすぎる。船に例えれば、水先案内船に先導されて、両脇をアドバイス、サポートしてくれる護送船に守られて、ブルーオーシャン目指して船出することが望ましい。それでも困難は無くなることはない。要は市場の声を聞く、ニーズ、ウオンツが指標になる。大事なのは隠されたニーズ、本当のウオンツの把握だ。当社で開発を進めている「展示会の達人」は中小企業、零細企業の中間発表的な場づくりを想定している。開発の途中で一度マーケットの声を聞いて、航路の修正、選択をしなければならない。今迄多くの新規事業の失敗を見てきた。中小企業、零細企業経営者の苦しみを少しでも軽減したい。さらには成功してほしい。そんな気持で「展示会の達人」のバージョンアップに取り組んでいる。