始められるところを見つけ、始める-ティッピングポイント
何事につけ、行動を起こすということは簡単なことではない。特に最初の1歩を踏み出すことが大事だとは頭では分っていても、躊躇してぐずぐずしてしまう。絵に餅を描くが、そのままで終ってしまい、食べる餅にはならない。なぜぐずぐずしてしまうのか。理由はいくつかあるだろうが、ここでは私は3つのことを挙げたい。一つはまだ全体が見えていない、全体が見えるまでもう少し検討したい。そう思いながら全体とは何かが分からない。ということで立ち止まる。二つ目はうまく行くかどうか、成功するかどうか確証が得られないので、確証が見えて来る迄待ちたい、ということで立ち止まる。三つ目は何から手をつけたら良いか分からない、可能性はいろいろある。どれを選んだら良いか決断できない。ということで立ち止まる。・・・立ち止まっている内に、関心が他のことに移っていく。そして同じことを繰り返す。餅を描いた紙が何枚もできるが、それらはいつまで経っても絵に描いた餅で、現実的には食べられない。何かを始める、それもすぐにできることを。1980年代半ばニューヨークの地下鉄再建のために公団総裁として招聘されたデイビッド・ガンは落書き対策をまず最初にすべきこととして主張した。多くの地下鉄再建支援者は落書きなど気にかけずに、もっと大きな犯罪問題や地下鉄の信頼性に気を配るべきだと言ったが、ガンは組織と風紀の再建に着手するには、まず落書き対策に勝利する必要があると主張し、落書きの清掃を具体的に実施した。この結果地下鉄再生の勝利が軌道に乗った。落書きがティッピングポイントだったのだ。ティッポイントを押せば世界は傾く。そのため焦点を絞ること、小さい規模で実験すること、そして信念を持つことが大事だ。まず第一歩を踏み出すこと、そうすれば景色が変っていく、今迄見えなかったものが見えてくる。勇気を持って最初の一歩を踏み出すことが大事だ。肝に命じたいと思う。