共生と連帯を取り戻すために
個人にとっても社会にとっても極めて重要な共生と連帯をどのようにして培われていくのだろうか。恐らく現在の日本においては自然発生的には生まれてはこないのではないだろうか。人々の意識は物資の充足から働きがいと生きがい、環境破壊から環境との調和に変ってきているが、変化は中途半端で、従い多くの問題、課題が山積しているというのが実情ではないだろうか。高度成長期にサラリーマン生活を送ったものとして思うのは、アメリカに追いつき、追い越せという熱気があったことだ。当時はアメリカが目標とすべき、理想の国に見えた。バブルと破裂を経験した後、日本経済は長い停滞期に入り、その結果格差の拡大、ニートの増加、古い制度・慣習の温存が日本社会の行く手に暗い影を落としている。経済学者は今こそ時代に即応した新しいシステムが求められると言う。千葉忠夫氏は教育理念を根本的に変革する必要があると指摘する。確かにその通りだと私も思う。その上で私は地域で、いやもっと狭い範囲で新しい井戸端会議ができるような生活共同体の再建が必要と考えている。そのためには何をしたら良いのか。やはり「遠くの親戚より近くの他人」なのだ。コミュニティづくりのためのソーシアルデザインとソーシャルビジネスがますます求められている。