伝承と創造 梅原 猛の呼びかけ
今日の東京新聞夕刊で梅原氏が重大な提案をしている。「歌舞伎の将来を考えると・・・多くの新しい歌舞伎作品の誕生が必要不可欠である。歌舞伎専門の作家が育たないかぎり、歌舞伎の将来は暗いのではないかと思う。伝承と創造、この2つがバランスよく保たれないかぎり、芸術の発展は不可能であろう。」と。梅原氏も触れているが、歌舞伎十八番の「暫」を市川団十郎で見たが、面白さがよく分からなかった。分かるはずだと2回ほどビデオで見たが、やはり分からなかった。歌舞伎も現代の言葉で現代の人情を語る必要があるのではないか。それに比べ、平家物語とか能あるいは狂言の方が人間の真情が私にはよく分かる。今まで何となく歌舞伎を避けてきたのはそんなところにも理由があるかもしれない。さてそこで連想するのが落語だ。子供の時、真空管ラジオから流れてくる金馬、円生、柳亭痴楽のメリハリの利いた語り口に魅了された。最近落語百選を買い、読んだ中で一番印象に残ったのは「百年目」だった。この話は一冊の優れた経営書に匹敵する内容だ。新作落語というと柳昇、今輔、痴楽、枝雀、三枝あたりを思い出す。落語も歌舞伎以上にドンドン新作が出てきてほしいと思う。やはり伝承と創造なのだ。