両生類的ビジネスパースン

 

今日はちよだプラットフォームに入っている会社のWさんとランチタイムの後、暫く雑談した。Wさんは言う。

「最近しなやかな発想をする若い人達が増えてきたように感じます。その人達はビジネスを始めても、数字には拘らない。勿論数字のことは意識してはいるんでしょうけど、数字には囚われない、という感じなんです」

「そういう人達にしなやかさをWさんは感じるんですね」

「そうですね。そういう人達と話をすると私達とは違う視点から物事を見ているなぁ、って思うんです」

「ビジネス一辺倒ではない」

「そうです」

「その人達は儲かるからビジネスをやる、という発想ではなく、そこに切実なニーズがあるからそのニーズを叶えるために仕事をする。儲からなくてもニーズがあるならまずやってみよう。そういうことでしょうか」

「そうだと思いますね。私達はやっぱり儲からないと止める、ということにどうしてもなりますよね。儲からなくてもやり続ける、私はそこにしなやかさを感じるんですね」

「公共的発想をする人が増えてきたとも考えられませんか」

「それもあると思います。それから最近特に思うのは価値観が多様になってきて、違いが目立ちます。皆それぞれ違うという感じですね」

「しかし、何かを一緒にやろうとすれば、価値観の共有とか同じことに共感するとか、共通の部分も必要ですよね」

「そこは大きな問題だと思います。価値観が個人化、孤立化してしまったため、人と人との関係が希薄になってきています。これからの時代はお互いの価値観の違いを認め、尊重しながら、共通の価値観を見つけ出し、共有していくということが大事ではないかと思っています。

「どうしたらそれができるんでしょうか」

「簡単ではないと思いますよ。特に日本人は違いの価値を認め、尊重する・・・ということが余り得意ではありませんから」

「それは私も感じます」

「ところで最初の話に戻ります。今思ったんですが、ビジネスと社会性の間にいる人にはどこか両生類的イメージがありますね。魚が水から陸地に上がって進化していく時、両生類という進化形を取りました。社会性の海からビジネスと言う陸地に行きつ戻りつしながら時間をかけて陸の住人になっていく。そんなビジネスパースンが増えてきてもいいですよね」

「両生類・・・両方の世界で生きられる。面白いですね」

2人とも食後のコーヒーを飲み干した。「それではこの話の続きは改めてやりましょう」。