不動産にとっての緑の価値
京王電鉄の株主になっている関係で毎年決算報告、営業報告書が送られてくる。営業報告書によると2014年度の連結営業収益は4080億円、連結当期利益は172億円だった。営業利益は連結で344億円。セグメント別に見ると運輸業122億円、不動産業96億円、レジャー、サービス業56億円、流通業48億円、その他22億円となっている。営業利益利益率で見ると運輸業9.6%、不動産業26%、レジャー・サービス業 8%、流通業3%、その他4%、となっている。ここで目立つのは不動産業の営業利益率の高さだ。ある中堅の建設会社の場合でも不動産業が利益の大半を稼ぎ出している。日本の企業の中で不動産事業部門が程度の差はあるだろうが、収益部門として重要性を増しているように感じられるが、懸念も同時にある。日本企業は右へ倣え、という経営行動パターンを持っている。他社が不動産で稼いでいるなら、ウチもやろう、ということになる。今後賃貸収入、安定的な利益の確保を狙って各社が不動産事業に力を入れていくと、いずれ供給過剰問題が起るだろう。都市に住む人々は高齢化し、人口は減少していく。外資企業もかつてほど日本にやってくることはないだろう。中・長期的に見れば稼働率の高い不動産物件は限られていくのではないか。その意味でも従来の不動産物件の条件だけでは「テナントに選ばれない」というケースも増えてくる。国際的なビルの認証制度LEEDなどもこのあたりを狙っているのではないか。ビルの環境性能は特に外資系では重要な選定基準となる。三菱地所が丸の内仲通りの緑化を進めている。有楽町駅から神田駅近くの鎌倉橋迄、緑のベルトがつながり始めている。不動産に「緑」はどのような価値を与えることになるのか、興味深い取り組みだ。