ビジネスモデルの移植、借りてくる

昨日のブログで、革新的なビジネスモデルをつくるためには不確実性に耐える覚悟と時間が必要であると書いた。そうすると「そんなに大変ならウチでは無理だ」と考える人も出てくるだろう。自社の未来を拓く革新的なビジネスモデルを創りたいのはやまやまだが、やはり無理だ・・・と諦めないで、次のようなやり方もありますよ、ということで出てきているのが、ビジネスモデルの移植、平たく言えば借りてくるという発想だ。早稲田大学ビジネススクール教授の山田英夫氏はその著「なぜ、あの会社は儲かるのか?」(日本経済新聞社刊2012年7月23日)で以下のような提案をしている。

①ゼロから構築する

他社のヒントを手がかりにする    ②同業ベンチマーク

③異業種にヒント

山田氏は①の「日本の大企業にとってビジネスモデルをゼロから生み出すことは難しい」と見る。頭脳明晰で経験豊富な経営者がゴーサインを出すための前例がない、またデータの積み上げも難しいというのがその理由だ。ゼロからの構築は鋭い直観をもった経営者のベンチャー企業によって成されてきた、と氏は結論付けている。

②は結局横並び競争になり、最後はコスト競争になり、企業や業界は疲弊してしまう。

そして最後に残る方法が③の異業種にあるモデルから学ぶパターンとなる。

この線を踏襲する形で最近出た本が「ビジネスモデルX仕事術」だ。この本ではビジネス

モデルだけを参考にして、違う業界に当てはめることを勧めている。「新しいビジネスモデルを立ち上げる際に、ビジネスモデルを考えようとした場合、他の業界から「借りてくる」ことが、一番簡単かつ有益な検討方法なのです」

私はこの考えに半分は同感、あとの半分は保留だ。

ビジネスモデルの移植は人間に例えたら、「生体間移植」となる。移植しても拒絶反応が出てくる場合があることを計算し、そのための手立ても準備しておく必要がある。

ビジネスモデルをつくるためには2つのことが重要と私は考えている。

1.ビジネスモデルは企業の潜在的経営資源に光を当て、従業員の能力を引き出し、未来に向わせる会社全体の仕組みづくりであり、全員参加が望ましい

2.ビジネスモデル的思考力はこれからの時代、レベルの違いは別にして、一人一人が持つことが求められている