デザイン思考が世界を変える・パート1を読み終わって

ティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変える」のパート1を読み終わって感じることは、やはり実際にやってきた人の話の具体性だ。これは学者とか評論家の文章と違うところだ。私自身、これからビジネスモデルを実作、プロデュースしていく者としての立場からこの本を読んでいる。以前のブログでも書いたが、「ビジネスモデルジェネレーション」をテキストブックとするならば、「デザイン思考が世界を変える」は実践的な詳論という位置づけになる。パート1の中で参考になりそうなことは数多くあったが、特に役に立ったのはプロトタイピングだった。「ビジネスモデルジェネレーション」ではもう一つ良く理解できなかったが、「デザイン思考」を読んで「そういうことか」と腑に落ちた。これでモヤモヤ感がなくなった。と同時にティム・ブラウンのやり方で私自身始めている。最近もあるプロジェクトでこのプロトタイピング作業をしたところ、チームメンバーから次々とアイデアが出たのには私自身驚き、また嬉しくなった。もう一つは経験価値と物語。経験価値ではマリオットホテルの事例が紹介されている。イノベーションの機会発見に役立つ考え方だ。感情的要素も考慮することの重要性に気付かされる。そしてメッセージを拡げるために効果的な物語の力。

ティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変える」はビジネスモデルをつくる私にとって座右の書の一つとなっている。小さな文庫本だが、IDECOの社長兼CEOが達意の文章で書いた本だ。イノベーションに関心のある皆さんに是非一読をお勧めしたい。恐らく彼はこの本以外には書いていないはずだ。その意味でも貴重な本だと私は考えている。それにしても人と同じように本も出会いだ。事故で電車が長時間止まり、やむを得なく駅前の本屋で時間をつぶしていた時、ティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変える」に出会った。立ち読みしながら、「これだ!」と思い早速購入した次第だ。「出会いが人生を変える」。ある賢人の言葉を思い出す。