ウオンツも二極化現象

「震災以降、コンビニにとられまくっていたマーケットが、徐徐に食品スーパーに戻ってきた。その差は素材の扱いがあるかないかだ」これは中堅食品スーパーマルエツの上田社長の発言だ。さてその素材とは上質商品、大量目が特徴となっている。肉の場合、節約志向が高まると牛肉の販売額が減り、豚肉・鶏肉が伸びるという傾向がある。ところがここにきて牛肉が最も伸びているとのことで、それも低価格の味付け肉と仙台牛や神戸牛などの最も高い銘柄牛と2極化している。また美味しい素材を買って家族皆で楽しむという内食化の流れも出てきている。個食化に対応した小量目から大量目のニーズが拡大しているということだろう。これは個人的にも納得がいく。まず贅沢をするなら食べ物から、つまり衣食住の中の食だ。そして、食べるなら、たとえ一緒の時間でなくても<おうちごはん>を食べたいという、ウオンツが出てきている、と私は感じている。食については、健康維持、エネルギー補給という面だけではなく、食事を通じて人と人とがつながるという本来のあり方に人々の意識が戻ってきているのではないか。これからは消費傾向では2極化がはっきりとして流れになっていくはずだ。昔、旅行会社のコマーシャルに「たまにはババンと!」というのがあったが、贅沢だけではなく、少し世の中が落ち着き、本当に良いものを楽しみたいという余裕も出てきていると思われる。