「美しい村」のモデル

小川町しもさと集落で有機農業を実践してきた金子美登さんは「生命が巡る美しい村」のモデルをつくろうとしている。それは日本の伝統の中で培われてきた自然と融合した美意識に基づく村ではないだろうか。日本の里山を撮影した写真集が手元にある。時々ページを繰って本の中で里山巡りをする。しもさと集落につながる道を歩きながら、有機農業塾に参加するため立川から来た親子連れのお母さんが、風景の美しさに「桃源郷みたいね」と思わず声を上げていた。カタクリとニリンソウの自生地がある。どこもかしこも満開の桜。どこか日本の原風景を見ているような気になる。空気も澄んでいて美味しい。有機の里は生物多様性を大事に守っている。都会では味わうことの出来ない環境だ。金子さんの「美しい」に触発されて、都会も温かく、美しい町になることができないだろうかと考えた。「美しい村」と「美しい町」のビジネスモデルをつくるとしたら、それぞれ何が構成要素になるだろうか。まずはしもさと集落の金子農場に通いながら、この1年間じっくり考えてみよう。