消費者の視点・目線

 

消費者の視点で商品開発とサービスを開発してきた2社を取り上げてみたい。まず家電分野の商品開発を手がける韓国の会社「モニュエル」は「消費者ニーズ以上の商品を作る」を会社のスローガンにしている。デザインや機能にこだわりつつ、価格は大手製品より20%ほど安くしている。20~30代の女性に人気が高いとのことだ。顧客セグメントを若い女性に絞っている。サムスン出身の同社の社長は「大企業は薄型テレビになると薄さばかりを競う。製品開発に消費者の視点がない」と転身した。日本では私が知っている限りではツインバードとかアイリス・オーヤマが消費者視点で家電製品を製造・販売しているのではないだろうか。消費者視点に商品開発は、多品種少量生産になりがちなこともあり、いわゆる大手企業では難しい制約があるのかもしれない。

またサービスの分野では40周年を迎えたセブン・イレブンが挙げられる。同社は10年周期で逆風に遭ってきた歴史がある。業界の“常識”を突き崩してきた原動力を鈴木敏文会長は「素人集団だからこそできた」と考える。現在社会インフラ化したコンビニはさらに「コミュ二ティビジネス」の性格を高めていくのではないだろうか。買物弱者にとっての生命線、住民票の写しの発行、家庭への配食事業・・・。ドラッカーは社会インフラになったコンビニを「社会革命」と高く評した。両社から学ぶことは何だろうか。それはお客様を見て、お客様の本当のニーズを掴むということである。言葉でいうのは簡単だが、消費者視点で、あるいは素人目線で本当のニーズを掴むことのできる人材の育成、それを第一とする企業文化、独自の開発手法は、それぞれが取り組むべき課題、ということになる。当社が事業展開している「屋上菜園ガーデン」も消費者の視点、素人目線でもう一度見直してみたいと思わされている。