人生は受け継ぎ、受け渡すこと
若い頃は自己実現的なことを考えていた。仕事で成功したい、出世したい、有名な人物になりたい、と。自分に対する期待と同時にどこかで能力の不足も感じていたのだろう。それで当時は自己啓発の本を手当たり次第に読んだ。この種の本は読むだけでは意味がないので、実行して「身につける」ことが大事なのだが、なかなかそれができず、自分にもできそうな自己啓発の本を探し続ける、という状態だったかもしれない。「人間力」の重要性にも気がついたので、そちらの関係の本も読んだ。しかし、今振り返ってみるとどれだけ役にたったのかはっきりしない。そして最近思うのは「人生のことは人生経験を通じて学び、習得するしかない」ということと、私の人生は誰かの思い、事業を受け継ぎ、自分なりに「何かを加えて」、次の時代の人にバトンタッチするためにある、ということだ。鈍く、愚かな私はやっとこの齢になってそれが分かりかけてきた。もっと早くそのことが分っていれば、こんなに曲がりくねった道を歩かなくて済んだかもしれないが、これも私という人間の運命なのだろう。それでもまだ時間は残されているようだ。
人生は受け継ぎ、受け渡すこと。だからこれからの日々を大切にしていきたい。