リアリズムについて
なぜこのようなテーマを取り上げるかと言えば、私達は今どのように現実をみているか、どのような方法、手段で現実を見ているか、気になるからである。なぜそのようなことが気になるかと言えば、現実と言葉、イメージの間に大きなズレを感じるから、と言ったらよいだろうか。現実は社会的現実にしても、人間的現実にしてもそれは客観的な基礎を持っている。しかし、それを伝え、表現しようとする言葉、イメージは断片的であり、一時的なものであり、従い人の意識の中を通過していくものとなっている。余りにも多くの言葉、イメージが使われ、「消費」されていく。昔と違い、忙しい現代では物事に時間をかけて向き合い、その本質、真実を洞察することが難しくなっているのではないか、と私は考えている。言い換えれば、形式知である言葉の意味を一人一人が自分の中に客観的事実と共に、内在化し、経験知として捉え直すことが大事なことのように思える。咀嚼して、血肉化する、と言っても良い。ビジネスの場合は特に現実感覚即ちリアリズムが必要とされる。ビジネスモデルをデザインする場合も、現実感覚、正確に言えば全体的及び個別的な現実意識・理解力が前提となる。思い込み、願望に基礎を置いてはならない、ということだ。