ドイツ帝国再興
同じ第二次世界大戦の敗戦国でありながらドイツと日本の過去70年間の歩みを振り返ってみると、なぜここまでの違いあるいは差が生まれたのかと思わざるを得ない。歴史家でもなく、経済学の専門家でもない私がその理由を考察するには余りにも浅学菲才で、表面的なことしか言えないが、最近読んだ2つの新聞記事(日本経済新聞 8月22日 大機小機、 8月24日 核心 岐路に立つ多文化主義)を手がかりの感想めいたことを述べてみたい。
1.大機小機ではドイツに倣い軍事力によらず経済力を伸ばすことこそ、日本の生きる道であることを主張している。「経済の相互依存こそが最大の抑止力である」
2.多文化主義では「パン・ヨーロッパ」で欧州の統合構想を初めて世に問うたリヒヤルト・クーデンホーフ・カレルギー伯の精神に、欧州統合の原点を見ている。
以上の記事を読んだ後、しばし考え込んだ。1については果たして経済力なのか、という疑問である。それだけなのか、文化力もあるのではないか、ということだった。
2については東南アジアを統合するような構想、ビジョンが東南アジア全体で共有されているだろうか。TPP、RCEP(東アジア地域包括経済連携)を支える統合構想は何を基盤に生まれ、今後どのように発展していくのか。注目していきたい。特に注目していきたいのはこれから大きな市場拡大が期待されるRCEPだ。日本の役割はイノベーション力ではないか。
フランスの人口学者、E.トッドは経済力で突出したドイツを「ドイツ帝国」と最近呼んでいる。帝国? 気になる言葉だ。
日本はこの点ではドイツと違った道を歩むべきだろう。