エマニュエル・トッドの予測

トッド氏は日本経済新聞の記者の質問に対して興味深い回答をしている。その回答は妥当で常識的であり、納得できる内容だ。トッド氏は米国、EU、中国そして日本の今後について以下のように指摘している。

米国については今は解決役でもあり、問題児でもある。

EUについてはドイツが頂点に立ち、民主主義が終幕に近づく。ギリシャに課そうとするドイツの官僚支配はまるでファシズムで、欧州連合崩壊への第一歩に見える。

中国については17世紀以降に英系米国人社会が定めた現代的な価値感にそぐわないのも世界的リーダーになれない理由だ。

最後に日本についてはこう言っている。「中国との関係が緊張する中、もし私が安倍晋三首相なら自国の過去の軍事行為を厳しく自己批判したうえで防衛力を一段と強化する」

「移民受け入れは不可欠だが・・・2度目の明治維新さながらの国民意識の転換が必要だ」

 

トッド氏の予測は信憑性が高い。日本の場合、過去の軍事行為を厳しく自己批判することをトッド氏は求めている。厳しくと言っているのは今迄の自己批判ではまだ不十分ということだろう。フランスと接しているドイツはどのように厳しく自己批判したのであろうか。

中国については人民解放軍の動向に要注意だ。シビリアンコントロールができる体制になっているのだろうか。

日本に2度目の明治維新が必要なら、中国にとっても連邦制に向けての民主革命が不可避ではないだろうか。独裁は国と国民を苦しめることを私達は日本の戦前、戦時中の出来事から教えられている。