アマゾンのクラウドサービス(AWS)
2014年11月18日の日本経済新聞朝刊に「クラウド戦国 風雲急」と言う記事が大きく掲載されていた。サブタイトルには6兆円市場の争奪戦が先発のアマゾンと後発のマイクロソフト、IBM、グーグルの間で繰り広がられている、とある。この記事を読んですぐ思い出したのは「ビジネスモデルジェネレーション」(BMG)のストーリーテリングのチャプターだった。ここにアマゾンのクラウドサービス「アマゾン ウエブ サービス (AWS)」の開発経緯が企業視点と顧客視点の両側で書かれている。日本経済新聞の記事の中のアマゾン上級副社長の以下の発言は印象的だ。
「我々がクラウドサービスを始めて8年半になるが、一番の驚きは最近迄この有望な市場に誰も参入してこなかったことだ。今になって主なIT企業はみな、AWSのマネをしようと全速力で走り始めているが、誰も追いつけていない」「長い目で見れば、AWSはアマゾンで最大のビジネスに成長する可能性があり、必要な投資は今後も惜しまない」
ここでの問題はなぜアマゾンという巨大なインターネットショップから、AWSという新たな価値が生まれてきたのか、なぜIBMとか他のIT企業からではなかったのか。またなぜ最近までIBMとか他のIT企業がこのクラウドサービスに参入してこなかったのか、という疑問も出てくる。その間の事情を知る手がかりがBGMに書いてあるので詳しくはそちらをご覧頂きたいが、私には新しいビジネスモデルがどのように<内部的に発見されたか>について、AWSは実に貴重なヒントを与えてくれている。つまり自社にとって役に立っている中核能力は他社にとっても役に立つ可能性がある、ということだ。
現在クラウドサービスの市場ではアマゾンがシェアー27%でダントツのトップになっている。2位はマイクロソフトの10%、3位のIBMは7%、4位はグーグルで5%。1年後、シェアはどのようになっているだろうか。投資額から判断してグーグルが伸びてくるのではないかと私は見ている。