生物多様性と農本主義・共同性への視点

有機農業と生物多様性は密接な関係を持っていると思う。有機農業が生物多様性の自然環境を産み出し、生物多様性が有機農業を支える、と私は考えている。今年4月、有機野菜塾に参加するために初めて小川町の下里集落を訪れた時に、穏やかな自然が溢れた場所と感じた。桃の花盛りだったこともあり、まさに桃源郷のようでもあった。さて日本の共同体には2つの焦点があると言われている。一つは人間、そしてもう一つは自然。日本の共同体は自然の中で培われてきた。さてそのような共同体の成立を促す日本の自然とはどのような特徴を持っているのだろうか。四季折々自然の恵みがもたらす日本の風土は八百万の神的信仰を人々に植え付けた、と思われる。田圃には田ノ神様がいる。気候に適した稲作文化を発展させてきた日本ではアニミズムを基盤とした共同性に、稲作の労働共同性も加わり、共同性への強い拘り、視点を持つようになったのではないか。

生物多様性はそれぞれの生物の等価的価値を認めるものでもある。少なくとも人間中心主義思想からは遠い考え方へと人々を導く。私自身は敢えて分類すると自分の感性から判断して縄文的DNAを受け継いでいるように思っている。