ハロルド・ヴォーグルのエンターテイメント・ビジネス

 

本書の紹介が今朝の日本経済新聞朝刊の読書欄でされていた。訳本で700ページを越える大著で、しかも8000円もするので、読むのも買うのも大変そうな本だが、書評を読んでいて、「やはりそうか」と思ったのは映画業界の収益構造だった。映画の場合劇場収入だけでは実質的に赤字が出るというのは前提になっている。それではどこで利益を上げるのか。それはテレビはビデオ・DVDなどの副次的な収益源の存在で、現在ではテレビへの使用許諾権収入は劇場収入を大きく上回り、最大の収益源となっているとのことだ。一方上映業者の最大の収益源はポップコーンやコーラなどの売店収入と見られている。このような収益源があるからこそ、莫大な費用がかかる映画製作ができるということだろう。

映画ビジネスはE.スライウオツキーの「ザ・プロフィット」の分類によれば「利益増殖モデル」になる。映画という基礎からその他の利益形態を生み出している。テレビへの使用許諾権は著作権、つまり知的所有権の利用と考えられる。ビデオ、DVDも同じであろう。さまざまな利益形態、言い換えれば付加価値を生み出して、本来的と副次的な利益でしっかり増殖していく利益構造を創りあげることが重要なのだ。現在本業が不振で、赤字が出ているという場合、例えば本業のコストダウンなどで本業自体の利益を出す努力は勿論欠かせないが、視点を変えて、お客様が求めている派生商品、サービスを洗い出して利益化する努力が求められている。木の枝のように他の利益形態が増えていけば、本業を続けることができ、かつ本業を強化・拡大することもできる。当社が取り組んでいる「屋上菜園ガーデン」もこのような利益増殖モデルに近いのではないかと思われる。引き続き検討していきたい。