ビジネスモデルデザインにとっての壁とは

 

ビジネスモデルという言葉は一般の人に、どのように理解されているのだろうか。またビジネスの世界ではどうだろうか。今回考えたいことは普及のための障害となる壁の存在だ。まずビジネスモデルという言葉のイメージ。何か今迄なかった新しい仕組み、不可能と思えることを可能にする独特のやり方、あるいは新しい儲け方、今までだれも気が付かなかった利益の出し方・・・とさまざまなのではないか。いずれのイメージも正しいが、しかし部分的、さらに言うならば、表面的だ。ビジネスモデルの核心を一言で表現すれば、自分が、あるいは自社が心から向き合いたいという相手にベストと思われる価値を提供する、そのための合理的な仕組みだ。そのように話をすると、次のような答えが返ってくる。「できるだけ多くの人にウチの商品を使ってもらいたいので、とてもお客様を絞り込むなんてできない」と。私の次の質問は「お客様を特定できなかったら、このお客様が商品を買って笑顔になってくださる瞬間をイメージできますか」「何となくはできそうだけど・・・ちょっと難しいね」現代は価値観が多様化しているポスト・モダンの時代なのだ。そして価値の多様化は更に進み、個人個人の価値感が異なる、成熟化社会になっているのだ。今日のビジネスモデルは時代背景の中からも生み出される。私達は価格だけでなく価値について考える時代になっている。個々人の価値感を一定の規模の集団に迄束ねていくこともビジネスモデルデザインの仕事となる。すべてがロングテール化していく時代なのかもしれない。ビジネスモデルについての壁のもう一つはビジネスモデルデザイン及びプロデュースの役割を担う人達がまだまだ少ないというところにある。ビジネスモデルデザイン及びプロデュースの活動はコンサルティングではなく、プレーイングマネージャー的である。一緒にPDCAサイクルをまわしていかなければならない性質の仕事だ。知力も体力もいる。このような人材を養成するのもこれらからの大きな課題だ。